フリーランスが税務調査の対象になりやすい理由と今後の調査傾向

フリーランスが税務調査の対象になりやすい理由と今後の調査傾向

税務署には法人税と所得税を担当する別々の部署があり、個人事業主に対しても税務調査が行われます。

さらに、最近の国税当局の動きから、今後フリーランスへの調査がより積極的に実施される可能性が高まってきました。今回は、税務調査の対象になりやすいフリーランスの特徴について詳しく解説します。

個人事業主とフリーランスの違いについて

個人事業主は税法上の区分であり、フリーランスは働き方の一つです。

個人事業主は法人を設立せずに独立して事業を行う人を指し、事業を開始する際には税務署に個人事業の開業届を提出する必要があります。

一方、フリーランスは企業などの組織に属さずに働く人を指します。

個人で仕事を受注し、労働の対価として報酬を得ている人が「フリーランス」と呼ばれます。

フリーランスとして活動している多くの人は税法上の個人事業主に該当するため、個人事業主をフリーランスと呼ぶこともあります。

税務署に狙われやすいフリーランスの特徴

税務調査は、本来納めるべき税金を支払っていない疑いがある納税者を対象に実施されます。そのため、申告誤りの可能性が高いフリーランスほど税務署に狙われやすくなります

申告書の記載内容が不正確

法人や事業を営んでいる個人は税に関する知識をある程度持っていますが、フリーランスとして活動を始めたばかりの人は税知識が乏しいことが多いです。

給与所得者は会社で年末調整が行われるため、税知識がなくても申告ミスは少ないです。

しかし、フリーランスの収入は事業所得や雑所得に分類され、自身で確定申告を行わなければなりません。経費計上や税金計算は納税者が行う必要があります。

税務署に指摘されやすい誤りとして、仕事以外の支出を経費計上しているケースがあります。公私で使用するものは、仕事に使用する部分のみを経費とし、使用頻度に応じて按分します。按分方法が実情に合っていない場合、税務調査で経費が否認され、追徴課税を支払うことになります

確定申告書を提出していない(無申告者)

フリーランスの中には、会社員の延長として考えている人もおり、確定申告が必要であることを認識していない人も一定数います。無申告に対する税務調査は、国税当局の要調査項目の一つです。税務署が無申告を把握した場合、すぐに調査が実施され、本税以外に加算税・延滞税を支払うことになります

期限後申告書を提出した際に課される加算税は「無申告加算税」で、本税の15%を追加で支払う必要があります納税額が50万円を超える部分に対する無申告加算税の税率は20%と、さらに重いペナルティが科されます。

白色申告で確定申告手続きを行っている

事業所得の申告方法には、白色申告と青色申告の2種類があります。青色申告を行うには、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があり、提出していない個人事業者は白色申告となります。

青色申告は帳簿作成などを厳格に行う見返りに、青色申告特別控除などの税制優遇措置が与えられます。一方、白色申告は税制優遇措置がない代わりに簡易的な帳簿作成が認められています

しかし、帳簿管理が疎かになると申告誤りが発生しやすくなり、同じ内容の申告書が提出された場合、青色申告者よりも白色申告者の方が税務調査を受けやすいです

今後フリーランスが税務調査の対象となる理由

令和4年8月に「所得税基本通達の制定について」の一部改正案についての意見公募手続きが行われ、所得税法基本通達に雑所得の例示などが追加される可能性が高まりました。

事業所得と業務に係る雑所得の区分は、その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至るかどうかで判定します。通達が改正された場合、対象となる所得が主たる所得でなく、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合は、特に反証がない限り雑所得と扱うことになります。

自営業者の事業所得は主たる所得ですので、通達変更の影響は少ないです。一方、副業などで複数の収入源を持つフリーランスについては、フリーランスで得た所得が雑所得とみなされる可能性があります

雑所得は青色申告が適用できず、他の所得との損益通算もできません。通達改正が行われた場合、所得区分の判断を巡り、事業所得で申告しているフリーランスに対して税務調査が行われる可能性もあります。

フリーランスの税務調査対策

税務調査を行う調査担当者の人数には限りがあるため、税務署に調査のメリットを感じさせなければ調査を受ける確率は下がります。白色申告と青色申告では青色申告、税理士関与の有無では税理士が関与している方が税務調査の対象となりにくいです

青色申告者になることで、青色申告特別控除などの優遇措置を受けられます。所得区分の判断が難しい場合には、税理士に相談することも一つの方法です。

まとめ

日本社会の働き方は変化しており、副業を始める人やフリーランスとして活動する人が増えています。確定申告の経験が少ない人ほど申告誤りが起こりやすく、税務調査の対象となりやすいです。

フリーランスの方でも、申告書を適正に作成して提出すれば税務調査を極力回避できます。税金対策と並行して税務調査対策も万全にしてください

大阪市で無申告対応サポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。

明田公認会計士事務所
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