NPO法人設立手続きの流れとその難しさの理由

利益を追求しないボランティア活動などを広く行いたい場合、NPO法人を設立するという選択肢があります。

しかし、NPO法人を設立するにはいくつかの条件があり、株式会社のように簡単に立ち上げることはできません。

本記事では、NPO法人の設立手続きの流れと、設立が難しい理由について解説します。

NPO法人の概要

NPO法人（特定非営利活動法人）とは、利益を追求せず、社会貢献活動の発展を目的とする法人です。

NPOはさまざまな社会貢献活動を行い、団体の構成員に対して収益を分配しない団体の総称です。
特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人は「NPO法人」、法人格のない非営利活動団体は「NPO団体」と呼ばれます。

社会貢献活動はNPO法人でなくても行えますが、NPO法人を設立することで次のようなメリットがあります。

NPO法人を設立するメリット

NPO法人は法人登記の際に登録免許税を支払う必要がなく、定款認証手数料もかかりません。
株式会社などの一般企業は利益に対して法人税が課されますが、NPO法人の特定営利活動に分類される事業には法人税が課されないため、税金面での恩恵が大きいです。

社会貢献活動を行う際、法人格を持つことで団体の信用力が高まり、事業を発展させやすくなり、人材も集めやすくなります。

また、NPOの性質上、行政と連携して業務を行うことがあり、NPO法人はNPO団体よりも信用力が高いため、行政との連携もスムーズに進みます。

NPO法人を設立する場合、所轄庁から認証を得た後に、法務局で登記手続きを行います。
認証の可否決定は、原則として縦覧期間の2週間が経過後、2か月以内に行われます。

認証（または非認証）の決定は書面で通知され、認証通知があった日から2週間以内に登記を行わなければなりません。
登記が完了したら、法人の登記事項証明書およびNPO法人成立時に作成する財産目録を所轄庁に提出します。

認証を受けても6か月間登記が行われていない場合、所轄庁は認証を取り消すことができるため、通知を受けたら速やかに登記手続きを行ってください。

株式会社は1人で資本金1円から設立できますが、NPO法人は税制上の優遇措置などがあるため、設立条件が設けられています。

NPO法人を設立するには、所轄庁に認証を受ける必要があります。
所轄庁は、NPO法人の認証権および監督権を持つ行政機関で、原則として主たる事務所が所在する都道府県知事が所轄庁となります。

所轄庁が認証するかどうかは、次の4つの基準に適合しているかがポイントとなります。

認証基準

NPO法人の設立で大きなハードルとなるのは、10人以上の社員が必要な点です。
他の条件をすべて満たしていても、協力者がいなければNPO法人を申請することはできません。

認証の可否は書面審査とともに、所轄庁へ提出した書類の一部が2週間公衆の縦覧に供されます。
公衆の縦覧とは、所轄庁だけでなく一般の方々も自由に書類を閲覧できるようにすることです。
NPO法人の認証チェックは行政だけでなく、市民の視点からも行われます。

NPO法人は非営利活動を目的とする法人ですので、以下の20種類の分野に該当する特定非営利活動のうち、不特定かつ多数のものの利益に寄与する活動に限定されます。

2022年9月30日時点で認証を受けた50,541法人のうち、最も多い活動分野は「保健、医療または福祉の増進を図る活動」で29,523法人です（複数の活動分野を行う場合もあります）。

認証を受けるには、申請書に法律で定められた書類を添付して提出する必要があります。
用意する書類が多く、不足書類があると認証を受けられないため、不備なく揃える必要があります。

認証を受けるための必要書類

NPO法人は所轄庁に申請し、認証を受けてから設立登記を行うため、活動開始までに数か月の時間を要します。
設立条件は厳しいですが、収益事業に該当しない活動には税金が免除されるなどのメリットがあり、社会貢献活動を行う際には有力な選択肢です。

知識がない状態からNPO法人の認証申請・設立手続きを行うのは大変ですので、専門家に相談しながら計画的に設立準備を進めてください。

当税理士事務所では、大阪市の会社設立や創業支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。