小口融資の概要と利用条件の詳細解説
資金調達の手段として、金融機関からの融資を受けるのが一般的です。
しかし、個人事業主や中小企業は大企業に比べて融資の審査が通りにくい傾向があります。
そのため、必要な資金が少額である場合には、小口融資を活用することも一つの選択肢となります。
本記事では、小口融資の概要、制度の種類、そして利用する際の注意点について解説します。
小口融資とは
小口融資とは、個人事業主や中小企業に対して行われる少額の貸付を指します。
融資金額が大きい場合は審査が厳しくなり、担保の提供が求められることが多いです。
一方で、小口融資は融資金額が少額であるため審査が通りやすく、担保を提供せずに資金を調達できる点がメリットです。
これにより、小規模事業者でも利用しやすくなっています。
事業規模が大きい企業でも少額の融資を受けることは可能ですが、小規模事業者経営改善資金や小口零細企業保証制度などは、小規模事業者を対象とした融資制度です。
さらに、小規模事業者向けの融資制度は一般の融資制度と異なり、金利が低く設定されているほか、担保の提供が不要なことが多いのも特徴です。
小規模事業者経営改善資金
小規模事業者経営改善資金(通称:マル経融資)は、日本政策金融公庫が実施している融資制度で、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で調達できる制度です。
小規模事業者経営改善資金の利用対象者
小規模事業者経営改善資金を利用できるのは、商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者です。
この制度の魅力は、担保や保証人が不要であることに加え、利率が1.30%と低く設定されている点です。
融資限度額は2,000万円までであり、運転資金や設備資金として利用可能です。
さらに、設備投資を行う場合には「設備資金貸付利率特例制度」を併用することもできます。
新型コロナウイルス感染症関連の融資制度の対象者
新型コロナウイルス感染症関連の融資制度は、感染症の影響を受けた事業者を支援するための制度で、通常の融資額とは別枠で1,000万円の融資を受けることが可能です。
別枠の1,000万円に対する金利(当初3年間)は「特別利率F - 0.9%」であり、小口融資の中でも特に低金利で資金調達ができる制度です。 (「特別利率F」は、令和5年1月現在1.30%)
この融資を利用するためには、最近1か月間の売上高または過去6か月の平均売上高が、前4年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している、またはこれと同様の状況にある事業者であることが必要です。
さらに、本制度を利用するためには、商工会議所、商工会、または都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受け、商工会議所等の長の推薦を受けることが求められます。
小口零細企業保証制度
小口零細企業保証制度は、信用保証協会が提供する小規模企業者を対象とした全国統一の制度です。
この制度の対象者は、常時使用する従業員数が20人以下の事業者で、個人事業主でも利用可能です。
(ただし、商業やサービス業においては、従業員数が5人以下の事業者が対象となります)
保証限度額は2,000万円ですが、既に保証協会の保証付き融資を受けている場合には、その融資額との合計で2,000万円が上限となります。
担保提供は原則として不要で、法人の場合は代表者が連帯保証人となりますが、個人の連帯保証人は不要です。
金利は融資を受ける自治体等によって異なりますので、利用の際は地域の信用保証協会に確認してください。
緊急小口資金とは
緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった方に対する貸付制度です。
(なお、緊急小口資金の融資申請期間は、令和4年9月30日で終了しております)
この制度の対象者は、新型コロナウイルス感染症の影響で休業などにより収入が減少し、緊急かつ一時的に生計を維持するための貸付が必要な世帯です。
無利子で保証人を必要とせず、個人事業主でも利用可能というメリットがある一方で、貸付上限額は20万円と低めです。
また、この貸付は生活再建までの間に必要な生活費用に充てることを目的としており、事業運転資金を調達する手段としては利用できません。
まとめ
個人事業主や中小企業を対象とした小口融資を活用すれば、低金利で担保提供をせずに融資を受けることができます。
本記事で紹介した制度以外にも、小規模事業者が利用できる融資制度は数多く存在します。
制度の存在を知らなければ選択肢に入れることもできませんので、資金調達を検討している方は、現在の経営状態で利用可能な融資制度を改めてご確認ください。
当税理士事務所では、大阪市の創業融資獲得支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。