無利子・無担保で利用できる融資制度の種類と適用条件
融資の金利(利率)が高ければ返済金額は増え、融資を受ける際に担保提供が必要になる場合もあります。
しかし、融資制度の中には無利子や低金利で資金調達できるものや、担保が不要なものも存在します。
本記事では、無利子・無担保で利用できる融資制度の種類と、その適用条件について解説します。
無利子の融資制度は基本的には存在しない
金融機関などが融資を行う際には、利子を収入源としています。
無利子ではお金を貸すメリットが無くなるため、基本的には無利子での融資は行われません。
ただし例外として、国や地方自治体が経済活性化などを目的に、金融機関の設定する金利相当を負担し、実質的に無利子で融資を受けられる制度があります。
例えば、新型コロナウイルス感染症の影響で経営が厳しくなった事業者を支援するために、無利子・無担保で融資を受けられる施策が行われています。
担保提供をしなくても融資は受けられる
担保提供は融資金額の返済が滞った際に債権者が損害を補う手段として用いられ、不動産や株式などの財産が担保として提供されます。
融資金額が少ない場合や信用力の高い事業者は、担保提供なしで融資を受けることが可能です。
しかし、創業当初や経営状態が良好でない事業者は、返済が滞るリスクが高いため、金融機関から担保提供を求められることが多いです。
無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)は令和3年3月31日で終了
「無利子無担保融資」とは、新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化した中小企業者を支援するための施策です。
信用保証制度を利用した都道府県等の制度融資への補助を通じ、実質的に無利子・無担保で融資を受けることができました。
利子が発生しないため、融資による負担が軽減され、事業者にとって非常に有益な制度でした。
ただし、無利子無担保融資の申し込みは令和3年3月31日で終了しており、現在はこの制度を利用することはできません。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は低金利の融資制度
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、中長期的に事業者を支援するための融資制度です。
この制度を利用することで、設備資金や長期運転資金として融資金を使用でき、事業の再建に役立てることができます。
中小企業事業向けのこの制度では、融資後3年目までは融資金額4億円を限度として、利率が「基準利率-0.9%」に設定されているため、非常に低金利での融資が可能です。
基準利率は最低でも1.2%あるため、利子は発生しますが、一般的な融資制度に比べて支払う利子を大幅に抑えることができます。
さらに、この制度を利用する際には担保の提供が不要であり、返済期間も最長20年と長期にわたるため、事業者にとって利用しやすい条件が整っています。
なお、この特別貸付を利用できるのは、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に経営状態が悪化した事業者のうち、感染症による売上の低下が認められ、中長期的に経営状態が回復する見込みがある事業者に限られます。
<中小企業事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要>
融資限度額 | 直接貸付 6億円 |
利率 | 基準利率 ・4億円をげんどとして融資後3年目までは基準利率‐0.9% ・4年目以降は基準利率 |
返済期間 | 20年以内(うち措置期間5年以内) |
担保提供の有無 | 不要 |
「コロナ融資の借換保証制度」は返済負担を軽減する制度
「コロナ融資の借換保証制度(コロナ借換保証)」は、事業者が融資金額の返済負担を軽減するために創設された制度です。
この制度の実施期間は令和5年(2023年)1月10日から令和6年(2024年)3月31日までを予定しています。
保証付融資は信用力の低い事業者でも金融機関から融資を受けやすくなるメリットがありますが、信用保証協会に対する保証料の支払いが必要です。
コロナ融資の借換保証制度では、金融機関から継続的な伴走支援を受けることを条件に、担保提供なしで借入時の信用保証料を大幅に引き下げることが可能です。
この制度を利用できる対象者は、新型コロナウイルス感染症の長期化や物価高騰などの影響で経営状態が厳しい中小企業です。
売上または利益率が5%以上減少しているなどの条件に加え、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成することが必要です。
<コロナ融資の借換保証制度の概要>
保証限度額 | 1億円 |
利率 | 金融機関所定 |
保証期間 | 10年以内(うち措置期間5年以内) |
担保提供の有無 | 不要 |
保証料 | 0.2%等 ※補助前は0.85%等 |
まとめ
基本的に無利子で融資を受けることは難しく、経営状況によっては担保を提供しなければならない場合も多いです。
しかし、経済が大きな打撃を受けるような状況下では、事業者を支援するために低金利や無利子・無担保で融資を受けられる制度が設けられることがあります。
こうした特例措置には利用期間が定められているため、融資を検討している事業者は、利用可能な優遇措置をうまく活用することが重要です。
当税理士事務所では、大阪市での創業融資獲得支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。