法人の設立方法。会社設立時に税務署へ提出する届出書の種類

会社を設立する際には、登記手続きだけでなく、税務署への届出も必要です。

提出期限が設けられている届出書類もありますし、事業内容によっては設立時に提出しなければならない書類もあります。今回は、会社設立時に税務署へ提出する必要がある書類について解説します。

法人設立時に税務署へ提出が必要な書類

法人を設立する際に提出しなければならない届出書は以下の通りです。

・法人設立届出書
・給与支払事務所等の開設届出書
（源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書）
・消費税の新設法人に該当する旨の届出書

法人設立届出書は、税務署に対して法人を設立したことを知らせる書類です。提出期限は法人の設立日（設立登記の日）から2か月以内で、届出書には定款・寄附行為・規則または規約等の写しを添付してください。

給与支払事務所等の開設届出書は、源泉徴収義務者となった場合に給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出する書類で、提出先は給与を支払う事務所等の所在地を所轄する税務署です。

給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者については、源泉徴収した所得税および復興特別所得税を半年分まとめて納める特例があります。この特例を適用するには源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出しなければなりません。届出書を提出した日の翌月から特例が適用されます。

消費税の新設法人に該当する旨の届出書は、基準期間がない法人で、資本金の額が1,000万円以上の場合に提出が必要です。

法人設立届出書に該当する旨を記載して提出している場合、この届出書は不要です。

法人設立時の状況に応じて税務署へ提出する書類

法人設立時に必要に応じて提出する申請書や届出書は以下の通りです。

・青色申告の承認申請書
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書
・申告期限の延長の特例の申請書
・事前確定届出給与に関する届出書

青色申告の承認申請書は、法人税の青色申告を行うために必要な書類で、設立第1期目から青色申告の承認を受けるには、設立日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までに提出する必要があります。

棚卸資産の評価方法の届出書は、原則「最終仕入原価法」ですが、他の方法で評価する場合に必要です。設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までに提出してください。

減価償却資産の償却方法の届出書も、償却方法を選定する際に必要で、提出期限は設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までです。

有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書は、有価証券を取得した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに提出してください。

申告期限の延長の特例の申請書は、法人税の申告期限を延長するための書類で、提出期限は適用を受けようとする事業年度終了日までです。

事前確定届出給与に関する届出書は、役員賞与を損金算入するために必要で、新設法人は設立日以後2か月を経過する日までに提出してください。

法人を新設した際のインボイス制度への対応

インボイス制度は2023年10月1日から開始されますが、制度を適用するには事前登録が必要です。
適格請求書発行事業者の登録は消費税の課税事業者であることが条件です。
しかし、新設法人が免税事業者の場合、事業開始日の属する課税期間の末日までに課税選択届出書を提出すれば、事業開始日の属する課税期間の初日から課税事業者となることができます。

また、新設法人が課税事業者となった場合、事業開始課税期間の末日までに登録申請書を提出することで、課税期間の初日に登録を受けたとみなす特例が適用されます。

これにより、法人設立時からインボイス制度を利用することが可能です。

まとめ

税務署には毎年法人税の申告書や消費税の申告書を提出し、源泉徴収義務者として毎月源泉徴収した税金を納めることになります。

事業内容によっては支払調書の提出も必要となり、法人は個人事業者よりも多くの書類を税務署に提出しなければなりません。
必要な書類の提出を怠ると事業運営に支障をきたすため、専門家に確認することをお勧めします。

当税理士事務所では、大阪市の会社設立や創業支援を行っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。