一般社団法人の特徴と設立に向いている業種および手続きの流れ

一般社団法人の特徴と設立に向いている業種および手続きの流れ

一般社団法人は、非営利目的の法人であり、株式会社と同じ法人形態の一つです。
非営利目的であっても、事業で利益を生み出すことは認められているため、事業内容によっては一般社団法人を設立して活動することも選択肢になります。

本記事では一般社団法人の概要と、一般社団法人に適した業種について解説します。

一般社団法人とは

一般社団法人は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づいて設立される社団法人です。
事業内容に制限はなく、公益的な事業だけでなく、町内会やサークルなどのように、構成員に共通する利益を図ることを目的とする事業も行えます。

収益事業が認められているため、生み出した利益を法人の活動経費等に充てることも可能です。

注意点として、株式会社のように剰余金の分配を目的としないため、社員や設立者に対して剰余金や残余財産の分配を行うことはできません。

一般社団法人の基金制度

一般社団法人の特徴の一つに、基金制度があります。
基金制度は、剰余金の分配を目的としない一般社団法人の特徴を維持しつつ、活動資金を調達し、財産的基礎の維持を図るための制度です。

基金の拠出者は、一般社団法人の社員の地位と結び付いていないため、社員が基金の拠出者になることも、拠出者でなくても社員になることも可能です。

集めた基金には法令上の使途の制限はないため、一般社団法人の活動の原資にするなど、自由に活用できます。
また、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」では、一般社団法人に基金制度の採用を義務付けていないため、活用するかどうかは各一般社団法人の判断となります。

一般社団法人の設立手続きの流れ

一般社団法人を設立するための手続きは、以下のステップに従って行います。

一般社団法人設立の流れ

  • 1.定款を作成し、公証人の認証を受ける
  • 2.理事の選任
  • 3.理事の設立手続き調査
  • 4.法人代表者が法定期限内に設立登記申請を行う

 
一般社団法人を設立するには、少なくとも2人以上の社員が必要です。
設立後に社員が1人になった場合でも一般社団法人は解散しませんが、社員が0人になると解散となります。

社員には自然人だけでなく法人もなれますが、法人の支店や支部、営業所などは社員にはなれません。

定款の記載事項

一般社団法人の定款には、以下の事項を記載します。

  • ・目的
  • ・名称
  • ・主たる事務所の所在地
  • ・設立時社員の氏名または名称および住所
  • ・社員の資格の得喪に関する規定
  • ・公告方法
  • ・事業年度

 
また、一般社団法人を設立する際には社員総会のほかに、業務執行機関として理事を少なくとも1人は置かなければなりません。

定款に基づいて、理事会や監事、会計監査人を置くことができますが、理事会または会計監査人を設置する場合には、監事を置く必要があります。
理事会には最低3人の理事が必要です。

一般社団法人に対する法人税の課税関係

一般社団法人に対する法人税は、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(通称:公益法人認定法)に基づいて公益認定を受けたかどうかで異なります。

公益認定を受けた場合

公益認定を受けた公益社団法人・公益財団法人は、法人税法上の法人区分で「公益法人等」とされます。
公益法人等は、収益事業から生じた所得に対して法人税が課されますが、公益目的事業から生じた所得は課税対象外です。

公益認定を受けていない場合

公益認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人は、法人税法上の非営利型法人の要件を満たすかどうかで課税関係が変わります。
非営利型法人に該当する場合、「公益法人等」として取り扱われ、収益事業から生じた所得が課税対象となります。
非営利型法人に該当しない法人は「普通法人」として取り扱われ、すべての所得が課税対象です。

法人税の課税所得の範囲

  • 公益法人等(公益社団法人・公益財団法人の公益目的事業から生じた所得は課税対象外)
     ・収益事業から生じた所得が課税対象
  • 普通法人
     ・全所得が課税対象

一般社団法人に向いている業種とは

一般社団法人は非営利目的の法人であり、利益を追求するための会社ではありません。
しかし、一般社団法人も利益を発生させることは認められています。
利益を生み出す側面と慈善事業の側面を兼ね備えている業種が一般社団法人に向いているとされています。

一般社団法人に向いている主な業種

  • ・芸術関連
  • ・地域振興関連事業
  • ・観光業
  • ・障害福祉・社会福祉
  • ・資格認定ビジネス

まとめ

一般社団法人は誰でも設立可能な法人であり、収益事業を行うことも可能です。
しかし、剰余金の分配を受けることはできず、収益事業から生じた所得は法人税の課税対象となります。

事業内容によっては一般社団法人として活動することが効果的な場合もありますので、専門家と協議の上で法人の種類を決定してください。

当税理士事務所では、大阪市の一般社団法人の設立や創業支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。

明田公認会計士事務所
  • 対応地域
    大阪市中央区ほか関西全域、日本全国対応
  • 事務所
    〒541-0046
    大阪府大阪市中央区平野町2丁目2-9 ビル皿井505号
  • 連絡先
    06-6121-2971

×