会社を設立して副業を行うメリットと法人形態の選択肢
副業として収入を得る方法は多岐にわたりますが、一定以上の所得を得ている場合、副業であっても会社を設立する方が良いケースもあります。
本記事では、会社を設立して副業を行うメリットと、選択可能な法人形態について解説します。
会社を設立して副業を行うべき4つのケース
副業がアルバイトやパートであれば、会社を立ち上げる必要はありません。
しかし、事業として副業を行う場合、次の4つのいずれかに該当する際は法人化を検討してください。
将来的に本業として展開する場合
個人事業主でも事業を行うことは可能で、従業員を雇うこともできます。
ただし、個人事業主と法人では社会的信用力に差があり、優秀な人材は個人事業主のもとに集まりにくいです。
事業を拡大し、副業を将来的に本業にする予定がある場合、法人として活動することを推奨します。
また、個人事業主から法人成りする際は、法人の設立だけでなく、個人から法人に事業資産を移動する作業や個人事業主の廃業手続きが必要です。
当初から法人として活動すれば、法人成りに必要な労力を節約できます。
資金調達の選択肢を増やしたい場合
法人は個人事業主よりも融資を受けやすく、資金調達の選択肢が多いのも利点です。
個人事業主は基本的に金融機関から融資を受け、利息も加えた金額を返済しなければなりません。
一方、株式会社は金融機関からの融資に加え、投資家から出資を受けることで事業資金を調達できます。
出資金は融資とは異なり、返済義務がありません。
そのため、設備投資など短期間で資金回収が難しいものにも資金を投じることができます。
企業間取引の多い事業を営む場合
法人は登記手続きが必要なため、取引相手は所在を調べることができますし、登記情報として代表者の住所等も記載されています。
個人事業主は簡単に事業を開始できる反面、登記手続きがなく、すぐに廃業できるため、法人と比較すると社会的信用力が低くなります。
個人事業主では断られる取引も、法人であれば成立することがあり、法人としか取引しない企業も多いため、主な取引先が企業となる場合は法人化が必要です。
利益が多く発生する見込みがある場合
法人が個人事業主よりも節税に有利とされる理由は、最高税率の低さと豊富な節税手段にあります。
個人事業主は所得税として税金を納めますが、最高税率は45%で、住民税と合わせると利益の半分以上が税金として徴収されます。
一方、法人の最高税率は23.2%で、所得税の約半分です。
事業規模が大きいほど法人化のメリットを享受できますし、個人と法人に利益を分散させることで税率を抑えることも可能です。
また、個人事業主は赤字の繰越期間が3年であるのに対し、法人は10年と長く、法人だけが利用できる節税方法もあります。
したがって、利益が多く出ている場合は、副業でも法人として活動する方が有利です。
会社を設立する際の法人形態の選択肢
法人にはいくつかの形態がありますが、副業として会社を設立する場合、「株式会社」と「合同会社」の2つが選択肢となります。
合同会社は定款の認証手続きが不要になるなど、一部相違点がありますが、設立の流れは基本的に株式会社と同じです。
株式会社のメリット・デメリット
メリット: 株式会社は出資者と経営者が分離しているため、投資家から出資を募って資金調達ができます。
法人形態の中で最も知名度があり、株式会社として事業を行うことで社会的信用力を確保しやすく、企業間取引や対個人取引でも優位に進められます。
デメリット: 株主総会を毎年開催する必要があり、投資家に経営戦略の見直しを迫られることがあります。
また、設立費用が10万円以上かかるため、計画的に立ち上げる必要があります。
合同会社のメリット・デメリット
メリット: 合同会社は出資者全員が有限社員となるため、迅速かつ自由度の高い経営が可能です。
登記費用は株式会社よりも低く、定款の認証が不要なので、設立コストを抑えたい場合に適しています。
デメリット: 2006年の会社法改正で創設された法人形態であるため、世間的な認知度が低く、株式会社に比べると社会的信用力が劣ります。
また、株式を発行して資金調達することができないため、事業資金の確保方法が限られます。
まとめ
副業を将来メインの仕事にする場合、当初から法人として活動する方がスムーズに移行できます。
限られた副業の時間内で登記申請などを行うのは大変なため、設立手続きを外部に委託することも検討してください。
また、事業の展開方法によって推奨される法人形態も異なります。
株式会社と合同会社のどちらで設立するか悩んでいる場合は、専門家に相談することをお勧めします。
当税理士事務所では、大阪市の会社設立や創業支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。