会社設立後に必要な届出書・申請書の種類と提出期限について
会社設立にあたり、法務局で法人登記を行う必要がありますが、設立後にも多くの手続きが求められます。
今回は、会社設立後に必須となる各種届出書や申請書の種類と、それぞれの提出期限について詳しく説明します。
年金事務所に提出する書類
年金事務所へ提出する書類は、以下の3種類です。
- 1.健康保険・厚生年金保険 新規適用届
- 2.健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
- 3.健康保険被扶養者(異動)届
法人は法律により、厚生年金保険と健康保険への加入が義務付けられています。
そのため、会社を設立した際には「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」の提出が必要です。
「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」は、従業員を雇用した際や新たに健康保険および厚生年金保険の対象となる人が発生した場合に提出する書類です。
「健康保険被扶養者(異動)届」は、被扶養者がいる場合や、新たに被扶養者が増えた時、または既存の被扶養者に変更が生じた際に提出します。
これらの届出書の提出期限は、いずれも事由が発生してから5日以内です。
猶予期間が短いため、速やかに手続きを行うことが重要です。
労働基準監督署に提出する書類
労働基準監督署へ提出する書類には、以下の2種類があります。
- 1.保険関係成立届
- 2.概算保険料申告書
労働保険の適用事業となった場合、「保険関係成立届」を保険関係が成立した日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
また、「概算保険料申告書」は、保険関係が成立した日の翌日から50日以内に提出しなければなりません。
公共職業安定所(ハローワーク)に提出する書類
公共職業安定所に提出する書類には、以下の2種類があります。
- 1.適用事業所設置届
- 2.被保険者資格取得届
「適用事業所設置届」は、従業員を雇用した日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
「被保険者資格取得届」は、雇用開始月の翌月10日までに提出しなければなりません。
公共職業安定所への手続きを行う際には、労働基準監督署が受理した届出の控えが必要です。
そのため、まず労働基準監督署への手続きを完了してから、公共職業安定所への手続きを行ってください。
税務署に提出する申請書・届出書
法人を設立した際に提出しなければならない書類は、以下の通りです。
- ・法人設立届出書
- ・給与支払事務所等の開設届出書
- ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- ・消費税の新設法人に該当する旨の届出書
「法人設立届出書」は、法人設立を税務署に知らせるための書類で、提出期限は設立日(設立登記の日)から2か月以内です。
「給与支払事務所等の開設届出書」は、源泉徴収義務者が給与支払事務所等を開設した後、1か月以内に提出する必要があります。
半年分の源泉徴収税をまとめて納めたい場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する必要があります。
特例の適用は申請書を提出した翌月に支払う給与等から始まるため、提出のタイミングに注意が必要となります。
「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」は、消費税の新設法人に該当する法人が提出する書類です。
ただし、「法人設立届出書」に消費税の新設法人に該当する旨を記載して提出している場合は、この届出書の提出を省略することができます。
消費税の新設法人に該当した時点で速やかに提出することが求められます。
都道府県税事務所・市町村に提出する書類
法人設立に関する届出は、都道府県税事務所と市町村にも提出することが必要ですが、届出の名称や期限は自治体ごとに異なるため注意が必要です。
例えば、千葉県千葉市に会社を設立する場合、千葉県の県税税事務所には設立日から1か月以内に「法人等の設立等報告書」を提出し、千葉市には設立した日から30日以内に「法人設立・設置届出書」を提出する必要があります。
行政機関への手続きはオンラインで完結できる
会社設立時に必要な届出は、それぞれ提出先が異なるため手続きが煩雑です。
しかし、「法人設立ワンストップサービス」を利用すれば、国税や地方税に関する設立届出だけでなく、雇用に関する届出など、法人設立後に必要なすべての行政手続きをまとめて行うことができます。
オンラインで手続きできるメリットは大きく、税務署の「青色申告の承認申請」など、提出が任意の届出にも対応しているため、提出義務のある書類と一緒に手続きすることも可能です。
法人用銀行口座の開設・クレジットカード作成も必要になる
法人として活動するためには、行政手続きだけでなく、銀行口座の開設も必要です。
会社の銀行口座は、法人設立後に作成するため、登記手続きが完了次第、速やかに口座開設の手続きを行ってください。
最近では、クレジットカードも事業運営に欠かせないため、口座開設後には法人名義のクレジットカード申請も必要になります。
まとめ
今回紹介した各届出は、法人設立時に共通して必要となる手続きです。業種によっては、他にも提出しなければならない届出があります。
提出期限はそれぞれ異なり、提出を忘れると事業に支障が出る可能性があるため、会社を立ち上げる際には事前に必要な届出を確認してください。
当税理士事務所では、大阪市の会社設立や創業支援を行っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。