脱税とは?税務調査で科される罰金以外のペナルティについて

脱税とは?税務調査で科される罰金以外のペナルティについて

税務調査で脱税行為が指摘された場合、追徴課税に加えて刑事罰を受ける可能性があります。しかし、申告ミスと脱税の違いや、具体的にどのようなペナルティが課されるかについては、あまり知られていません。

この記事では、脱税に該当するケースと、脱税が発覚した際の罰則について詳しく解説します。

申告誤りと脱税の違い

申告誤りと脱税の違いは、意図的に税金の支払い(還付)を偽装しているかどうかです

税務調査で申告誤りが指摘された場合、本税に加えて加算税や延滞税を支払う必要があります。ただし、申告誤りに対する過少申告加算税は、加算税の中でも最も低い税率が適用されます。

厳しい調査で知られるマルサ(国税局査察部)は、申告誤りをした納税者を対象にせず、逮捕されることも基本的にはありません

一方、脱税とは、意図的に売上除外や経費の水増しなどを行い、税金の過少申告や不正還付をした場合を指します。脱税行為によって納税額を減少させた場合、重加算税が適用され、マルサによる強制調査が行われることもあります。

また、高額な脱税は罰金だけでなく、逮捕される可能性もあるため、意図的な過少申告や無申告はリスクが高いです

脱税に対する罰則規定

脱税に対する罰則には、加算税・延滞税を支払わせる行政処分と、裁判所によって科される刑事罰の2種類があります。

加算税・延滞税は申告誤りでも課されますが、加算税の税率や延滞税の計算期間の扱いが異なります。

重加算税の適用

税務調査で申告誤りが指摘された場合、期限内に申告していない場合には「無申告加算税」、期限内申告をしていた場合には「過少申告加算税」が課されます。しかし、脱税行為をした場合には、無申告加算税や過少申告加算税の代わりに「重加算税」が課されます

例えば、無申告加算税の代わりに重加算税が課される場合、本税の40%を納めることになり、税率は無申告加算税の15%(20%)の2倍以上になります。

延滞税の除算期間の不適用

延滞税の計算において、期限内申告書の提出後1年以上経過して修正申告(更正)があった場合、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日(更正通知書を発した日)までは延滞税の計算期間から除かれます

期限内に申告書を提出してから3年後に税務調査を受けて修正申告書の提出・納税をした場合、延滞税は1年分しか課されません。しかし、重加算税が課されるケースでは、延滞税の計算期間の除外規定は適用されないため、本来納めるべき税金の支払いが遅れるほど延滞税の額は増え続けます。

悪質な脱税者は逮捕される可能性がある

税法には刑事罰の規定があり、脱税行為を行うと刑事罰が科されることがあります。例えば、所得税法第238条では、偽りやその他の不正行為によって所得税を免れたり還付を受けたりした場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されると定められています。

申告誤りで刑事罰の対象となることはほとんどありませんが、マルサ(国税局査察部)による査察調査の対象となった場合には刑事告発されることが多いです。マルサの調査対象は、高額な脱税行為を行っている個人や法人であり、税金の種類は問いません

以前は、刑事罰の対象となる脱税額は1億円以上が目安とされていましたが、令和3年1月に仮想通貨取引による所得を申告しなかった納税者が脱税額1億円未満でも刑事告発されました。今後は、脱税額が数千万円規模でも刑事罰の対象となる可能性があります。

脱税と見なされる場合

納税者に脱税の意図がなくても、税務調査で調査担当者から脱税と見なされることがあります。法律で規定された特例制度を活用して納税額を減らすこと自体は問題ありませんが、合法だと思っていた行為が実際には違法だった場合、国税当局は意図的な税金逃れと判断することがあります。

国税当局の処分に納得できない場合は、不服申し立てを行うことが可能です。しかし、納税者の意見を正確に伝えるためには、専門家に対応を依頼するのが一般的です。

脱税と見なされないための対策

国税当局に脱税行為を疑われないようにするためには、期限内に適正な内容の申告書を提出することが最も重要です。もし申告期限を過ぎてしまった場合でも、税務調査が始まる前に期限後申告書を提出すれば、脱税行為と見なされることはありません。

さらに、申告書を作成する際に使用した資料などは適切に保管し、税務調査の際に調査担当者に提示できるよう準備しておくことが大切です。

まとめ

脱税行為は違法であり、税務調査で指摘されれば多額の追徴課税を支払うことになります脱税の意図がなくても、脱税とみなされることがあるため、調査担当者に脱税行為をしていないことを正確に伝える必要があります。

世間に出回っている節税術が違法であることも珍しくないため、節税については必ず専門家に相談し、対策を講じてください

大阪市で税務調査対応サポートを提供していますので、お気軽にご相談ください。

明田公認会計士事務所
  • 対応地域
    大阪市中央区ほか関西全域、日本全国対応
  • 事務所
    〒541-0046
    大阪府大阪市中央区平野町2丁目2-9 ビル皿井505号
  • 連絡先
    06-6121-2971

×