税務調査前に修正申告を行った場合の加算税・延滞税の取り扱い

税務調査前に修正申告を行った場合の加算税・延滞税の取り扱い

修正申告をする際には、差額の本税に加えて附帯税を納める必要がありますが、税務調査前に修正申告書を提出するとペナルティが軽減・免除されることがあります。

本記事では、修正申告を行うタイミングごとの附帯税の取り扱いについてそれぞれ解説します。

修正申告書を提出した場合に課される附帯税の種類

提出期限を過ぎてから確定申告書の提出・納税をした場合、附帯税として加算税と延滞税の対象となります。

加算税は、申告書を期限までに提出しなかった場合に課されるペナルティで、申告書の種類や提出状況によって税率が異なります。延滞税は、納税が遅れたことに対するペナルティです。

申告期限と納付期限は通常同じ日であり、申告書を期限内に提出しても納付が完了していなければ延滞税が発生します。

延滞税は日割りで計算され、一定期間を超えて納付が完了していない場合は税率が上がるため、申告と納付は同時期に済ませることが望ましいです。

税務調査前後に修正申告書を提出した際の加算税の取り扱い

修正申告書に対して課される加算税は「過少申告加算税」であり、申告書を提出するタイミングが遅くなるほど税率が上がります

税務調査の連絡前に修正申告書を提出した場合

法定申告期限等の翌日から調査通知前までに修正申告書を提出した場合、過少申告加算税は課されません

調査通知とは、実地の調査を行う旨、調査の対象となる税目、調査の対象期間を通知するものであり、税務署が税務調査を実施する際には基本的に調査通知が行われます。

税務署から調査の連絡が来る前に申告誤りを把握し、自主的に修正申告書を提出することで過少申告加算税は賦課されないため、余計な税金を支払わないためにも、計算ミス等の間違いに気づいた際は早期に申告することが重要です。

なお、当初申告が期限後申告だった場合、その申告に対応する修正申告書を提出した際に課される加算税は「無申告加算税」となります。

無申告加算税が課されるケースでは、自主的に修正申告書を提出しても、5%の加算税が賦課されますので注意が必要です。

税務調査の通知を受けてから修正申告書を提出した場合

調査通知以後から調査による更正等予知前までの間に修正申告書を提出した場合、5%の過少申告加算税が課されます

期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分については、加重分として加算税が5%上乗せされます。

以前はこの期間に提出した修正申告書は自主申告扱いとなっていましたが、平成28年度の税制改正で過少申告加算税が賦課されるようになりました。

税務調査の指摘により修正申告書を提出した場合

税務調査で調査担当者から申告誤りの指摘を受けて修正申告書を提出した場合には、10%の過少申告加算税が課されます。期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分に対する税率は15%です。

また、仮装隠蔽行為が原因で修正申告書を提出した場合には、過少申告加算税の代わりに重加算税が課されます。

重加算税の税率は35%と高いため、申告内容を偽らないこと、調査時に虚偽の回答を避けることが重要です。

税務調査前後で修正申告書を提出した場合の延滞税の取り扱い

延滞税は、法定納期限の翌日から完納する日までの期間に応じて課される額が算出されます。自主的な修正申告でも、税務調査による修正申告でも適用される延滞税の税率は同じです。

納入期限までの期間および納入期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」または「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合が延滞税の税率となります。(令和4年1月1日から令和5年12月31日における「延滞税特例基準割合+1%」の割合は2.4%です)

納入期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」または「延滞税特例基準割合(※1)+7.3%」のいずれか低い割合が延滞税の税率です。(令和4年1月1日から令和5年12月31日における「延滞税特例基準割合+7.3%」の割合は8.7%です)

なお、期限内申告書を提出した後、1年以上経過して修正申告書を提出した場合、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間は延滞税の計算からは除かれます。

税務調査は申告期限を1年以上経過してから実施する場合や、複数年分をまとめて調査することもありますが、申告期限から1年経過している場合は実質的に1年分の延滞税しか発生しません。ただし、重加算税が課されるケースでは控除期間の適用はありませんので、申告期限から完納するまでの期間に応じた延滞税を支払う必要があります。

申告誤りを把握した際に取るべき行動

提出した申告書に誤りがあった場合でも、自主的に修正申告書を提出すれば加算税は課されず、期間が短ければ延滞税も少額に抑えることができます

自主的な申告内容の修正は、税務署に適正な申告・納税を行う意思があると認識させるため、追徴課税以外のデメリットは少ないです。一方、申告誤りを放置していると税務調査で指摘され、加算税・延滞税を多く支払うことになるので注意が必要です。

まとめ

適正な申告を心掛けていてもケアレスミスを完全に防ぐことは難しく、申告書提出後に申告漏れや計算ミスなどが発覚する場合もあります。

修正申告書を作成する労力や追徴課税の負担は大きいですが、税務調査で拘束される時間や附帯税の支払いを考えると、自主的に修正申告書を提出するのが最も労力を抑える方法です。税理士に修正申告書を作成するタイミングで依頼することもできますので、修正申告の手続きが分からない場合は、税理士に相談することを検討してください。

大阪市の税務調査対応サポートを提供していますので、お気軽にご相談ください。

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