事業者が利用できるセーフティネット貸付制度の種類

事業者が利用できるセーフティネット貸付制度の種類

日本政策金融公庫は、経営が厳しい事業者を救済するために、セーフティネットとしての融資制度を提供しています。

セーフティネット貸付は、通常の融資制度と同等か、それ以上の条件で資金調達ができるよう設計されています。

本記事では、日本政策金融公庫のセーフティネット貸付制度の種類とその概要について解説します。

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付の種類

日本政策金融公庫は、個人事業主や中小企業に対する融資を積極的に行う政府系金融機関です。

経営状況が厳しい事業者でも利用できるように、3つのセーフティネット貸付を提供しています。

経営環境変化対応資金

経営環境変化対応資金は、社会や経済の変動によって一時的に業績が悪化した事業者の経営基盤強化を支援するための融資制度です。

この制度は、中長期的に業績が回復し、発展が見込まれる事業者を対象としています。
融資限度額や金利は、国民生活事業と中小企業事業によって異なります。

国民生活事業 中小企業事業
融資限度額 4,800万円 直接貸付
7億2千万円
利率(原則) 基準利率 基準利率
(長期運転資金に限り、上限3%)
返済時期 設備資金
15年以内(うち措置期間3年以内)
8年以内(うち措置資金3年以内)
設備資金
15年以内(うち措置期間3年以内)
8年以内(うち措置期間3年以内)
担保 要相談 要相談

 
利率(金利)は「基準利率」が基本ですが、経営悪化の原因が原材料やエネルギーコストの増加などの場合は、さらに低い利率で融資を受けることができます。

また、国民生活事業の経営環境変化対応資金を利用する事業者は、他の融資制度を併用することが可能です。

無担保・無保証人を希望する事業者には、税務申告を2期以上終えていることを条件に、「担保不要の融資制度」と「経営者保証免除特例制度」、および設備投資を行う事業者には「設備資金貸付利率特例制度」を併用することができます。

金融環境変化対応資金

金融環境変化対応資金は、金融機関との取引状況が変化し、資金繰りが困難になった中小企業者を対象にした融資制度です。

この制度は、取引金融機関が行政庁から業務停止命令を受けている場合や、実質的に経営破綻の状態にあることが原因で、一時的に資金繰りが厳しくなった際に利用することができます。

融資限度額 直接貸付3億円
利率 基準利率
(長期運転資金に限り、上限3%)
※信用リスク、融資期間などに応じて所定の利率が適用
返済期間 ・設備資金
15年以内(うち措置期間3年以内)
・運転資金
8年以内(うち措置期間3年以内)
担保 要相談

取引企業倒産対応資金

取引企業倒産対応資金は、取引先や関連企業の倒産によって経営が困難になった事業者を支援するための融資制度です。

この融資制度は、倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権を有するなどの条件を満たしている事業者が利用できます。

融資限度額や利率は国民生活事業と中小企業事業で異なり、税務申告を2期以上終えている事業者が国民生活事業の取引企業倒産対応資金を利用する場合には、「担保不要の融資制度」と「経営者保証免除特例制度」を併用することが可能です。

国民生活事業 中小企業事業
融資限度額 別枠 3,000万円 1億5千万円
(直接貸付と代理貸付を合わせて)
利率 基準利率 基準利率
※信用リスク・融資期間などに応じて所定の利率が適用)
返済期間 ・8年以内(うち措置期間3年以内) ・8年以内(うち措置期間3年以内)
担保 要相談 要相談

新型コロナウイルス感染症特別貸付

日本政策金融公庫は、通常のセーフティネット貸付とは別に、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の制度も提供しています。

この特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に業績が悪化した事業者を支援するための制度であり、中長期的には業績の回復と発展が見込まれる事業者が対象です。

融資された資金は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因で必要となった設備資金および長期運転資金として使用されます。

融資限度額は国民生活事業と中小企業事業で異なります。適用利率は基準利率ですが、融資後3年目までの利率は基準利率よりも低く設定されています。

また、新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する際には、担保提供が不要となっています。

国民生活事業 中小企業事業
融資限度額 8,000万円 直接貸付 6億円
利率 基準利率
※融資後3年目までには6,000万円を限度に、基準利率‐0.9%
基準利率
※融資後3年目までには4億円を限度に、
基準‐0.9%
返済期間 ・20年以内(うち措置期間5年以内) ・20年以内(うち措置期間5年以内)
担保提供

まとめ

一般の融資制度では、経営状態が悪化していると審査が通りにくいことがあります。

しかし、セーフティネット貸付や新型コロナウイルス感染症特別貸付は、厳しい状況下でも利用できる制度です。

セーフティネット貸付の種類によって、適用条件や融資限度額、返済期間などが異なりますので、自身の状況に応じて最適な制度を選んでください。

当税理士事務所では、大阪市の創業融資獲得支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。

明田公認会計士事務所
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