税理士関与の割合と確定申告書作成を依頼する利点について解説

税理士関与の割合と確定申告書作成を依頼する利点について解説

税理士に確定申告書の作成を依頼すると、自身で税務手続きを行う手間が省けるだけでなく、税務調査を受ける確率を下げる効果も期待できます。

この記事では、税目ごとの税理士関与割合と、申告書作成を依頼する利点について解説します。

税理士が申告書作成に関与している割合【税目別】

「所得税」「相続税」「法人税」の申告において、税理士が関与している割合は次の通りです。

過去5年間の税理士関与割合

(出典:令和3事務年度国税庁実績評価書)

1. 法人税

法人税の申告書では約90%が税理士関与で作成されています。これは3種類の税目の中で最も高い割合です。

2. 相続税

相続税の申告書も個人が作成するものですが、約85%は税理士が関与しています。相続税は基本的に税理士へ申告書作成を依頼する税金です。

3. 所得税

所得税の場合、年金受給者や会社員が医療費控除や住宅ローン控除の適用など、自分で申告書を作成できることが多いため、税理士関与割合は約20%にとどまっています。
しかし、個人事業主や不動産収入がある人に限定すると、この割合は上がります。また、事業規模が大きいほど税理士に申告書の作成を依頼する傾向が強まります。

税理士に申告書の作成依頼をする2つのメリット

税理士に申告書の作成を依頼することには、大きく2つのメリットがあります。

1. 税務手続きの作業量を減らせる

事業者は確定申告を毎年行わなければなりませんが、申告書の作成は年に一度だけのため、慣れるのは難しいです。
不慣れな作業に多くの時間を費やすことになりますし、事業が拡大すれば必要な書類も増えるため、事業に専念する時間を奪われます。

一方、税理士に申告書作成を依頼すれば、税務関連の事務量を減らせるため、本来の業務に集中できます。
また、税理士によっては記帳代行なども行っているため、事業規模や経営状況に応じたカスタマイズが可能です。

2. 税務署から申告誤りを指摘される可能性が下がる

納税者の多くは税の専門家ではないため、記載誤りや申告ミスが発生しやすいです。
税務署は税理士が関与していない申告書の方がミスが多いことを理解しており、納税者が作成した申告書は税務調査の対象になりやすいです。

しかし、税理士が作成した申告書は計算ミスがなく、適正な内容であるため、税務調査を受ける確率は低くなります。
税務調査で申告誤りを指摘されると、本税だけでなく加算税や延滞税も納めなければならないため、再度調査を受けるリスクも高まります。

税理士が申告書に関与することで税務調査を受けにくくなる理由

税理士が申告書に関与すると、次の3つの理由から税務調査を受けにくくなります。

1. 申告内容が適正であれば税務調査のメリットが無い

税務調査は、申告誤りを指摘して本来納めるべき税金を支払わせることが目的です。
申告内容が正しければ、税務調査を受けても追加で納める税金は発生しないため、税務署が適正な申告書を調査するメリットはありません。

税理士は法律の範囲内での節税手段を用いるため、脱税の指摘を受けることもありません。

2. 国税当局は申告誤りを指摘しやすい納税者から税務調査を実施する

税務署に提出される申告書は、所得税や法人税、相続税に限らず、贈与税や消費税など多岐にわたります。
毎年、税務署には膨大な数の申告書が提出されており、所得税の申告書だけでも年間2,200万件が提出されています。

国税組織には約54,000人の職員がいますが、その中で実際に調査担当者として活動しているのは一部に過ぎないため、全ての申告書を調査するのは難しいのが現実です。

そのため、税務署は税務調査の費用対効果を考え、増差税額の発生が見込まれる事案を優先して調査する傾向があります。
事業規模が同程度であれば、納税者が作成した申告書は計算ミスが発生しやすいため、税務調査の対象になりやすいです。

一方で、税理士が関与している申告書は、計算ミスが少ないため、税理士が関わっているだけで税務調査の優先順位は下がることになります。

3. 税務署が必要とする書類を提出できる

税務調査を避けるためには、正確な申告をするだけでなく、添付書類の提出も重要です。

添付書類には「法定添付書類」と「任意添付書類」の2種類があります。
法定添付書類が法律上必要な書類です。

しかし、申告書の内容によっては、領収書などの法定添付書類以外の書類が必要になることがあります。

通常、領収書などを申告書に添付する義務はありませんが、税務署が確認したい事項に関連する書類を申告書に添付することで、税務調査の必要性を低減することができます。

税理士は申告内容に応じて、どの任意添付書類を付けるべきかを把握しているため、同じ内容の申告書でも、税理士が関与した申告書の方が税務調査を受けにくくなります。

まとめ

事業規模が大きくなると税務手続きの負担も増えるため、税務調査を回避するだけでなく、税務関連の手続き負担を軽減するためにも税理士を活用するのが良いでしょう。

税務署は費用対効果を考慮し、売上や利益が大きい事業者ほど調査対象となりやすいです。

税理士は申告書作成だけでなく、節税アドバイスも行うため、事業の成長を目指して依頼することも検討してください。

大阪府の税務調査対応サポートを提供していますので、お気軽にご相談ください。

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