会社員がマイクロ法人を設立するメリットと注意点

会社員がマイクロ法人を設立するメリットと注意点

働き方改革の影響で、勤務先の給与以外に収入源を持つことが一般的になり、税金対策としてマイクロ法人を設立するケースも増加しています。

本記事では、会社員がマイクロ法人を立ち上げるメリットと、設立時の注意点について解説します。

会社員(サラリーマン)でも会社を作ることは可能なのか

会社を設立するために特別な条件はないため、会社員として働きながら会社を立ち上げることは可能です。

以前は、株式会社を立ち上げるには資本金1,000万円以上、取締役は3名以上必要でした。
しかし、2006年の会社法施行により、資本金1円取締役1名で株式会社を設立できるようになり、現在は会社を作りやすい環境が整っています。

会社員がマイクロ会社を設立するケース

マイクロ会社とは、従業員1名で事業を行う、いわゆる「1人社長」の会社です。
事業に携わるのが1名であれば個人事業主として活動するのも選択肢ですが、以下のケースでは、個人事業主よりも法人として活動するメリットの方が大きいです。

副業による収入が一定以上ある場合

法人税は所得税よりも最高税率が低いため、副業(複業)による利益が1,000万円を超える場合、法人化による節税効果が期待できます。

所得税は10種類の所得区分の合計所得金額に税率を乗じて課税されるため、本業と副業の所得を合算して税額を算出しなければなりません。

法人税は法人が得た利益に対して課される税金であり、利益が多くなるほど税率が高くなりますが、最高税率は所得税の約半分です。
そのため、利益が多い場合には法人税として税金を納めた方が支払う金額を抑えられます。

さらに、利益を個人と法人に分散することで、課税対象の金額が減少し、所得税と法人税の適用税率を下げることができるのも利点です。

事業に必要となる経費が多い場合

経費が多く発生する事業では、経費計上の有無で納税額が大きく変わります。

給与所得は、給与収入から給与所得控除を差し引いて算出されますが、会社員が給与を得るために支出した金額は原則として経費として控除されません。

一方、個人事業主は売上を得るために支出した費用を経費として計上できます。
ただし、公私で使用している備品などは按分し、仕事で使用している部分のみを経費とすることが求められます。

法人は公私の区別がないため、事業で使用する支出は基本的にすべて経費となります。
また、赤字が発生した場合でも欠損金を最大10年間繰り越すことが可能です。

資金調達の手段を増やしたい場合

社会的信用力は事業を行う上で重要ですが、個人と法人では信用力に大きな差があります。
会社員や個人事業主は社会的信用が低いため、金融機関の融資審査が厳しく、個人との取引を行わない会社も存在します。

法人は個人よりも社会的信用力が高く、多額の資金調達が必要な事業では法人化が必須です。
法人化することで、企業間取引のみを行っている会社と契約できるようになるため、企業を相手に事業を行う場合には、従業員の人数に関係なく法人として活動することを検討してください。

マイクロ法人を設立する際の注意点

会社員が法人設立手続きをする際、いくつかの注意点がありますのでご紹介します。

法人の設立・維持には費用がかかる

法人として活動するためには、定款や実印を作成し、登記申請を行うなど、多くの手続きが必要です。
定款は会社のルールとなるため、必要事項を漏れなく記載し、公証役場で認証を受けなければなりません。

また、設立費用として定款認証の手数料や登記申請時の登録免許税などがあり、合計で10万円以上かかります。
赤字であっても法人住民税は支払う必要があり、最低でも7万円となります。この金額は個人住民税の10倍以上です。

法人は個人事業主よりも事務手続きが多い

法人税の申告書は所得税よりも複雑であり、申告書の90%は税理士が関与しています。
申告書の作成ミスがあれば税務署から指摘され、加算税・延滞税といったペナルティを支払うことになります。

また、株式会社には決算公告義務や市区町村などへの届出や申請など、やるべき手続きが多くあります。
本業を行いながら設立に関する事務作業を一人で行うのは難しいため、登記手続きは司法書士税務関係手続きは税理士に外部委託するなど、作業を分担する必要があります。

勤務先の会社との関係悪化

法律上、会社員でも会社を設立できますが、勤務先が副業を禁止している場合、会社設立が就業規則違反に該当する可能性があります。

規約違反にならない場合でも、立ち上げた法人の事業内容が勤務先の会社と同じであれば、トラブルに発展することも考えられます。
就業規則は設立手続きを行う前に一度確認してください。

まとめ

副業による所得が一定以上ある場合、法人として活動するメリットは多いですが、所得が一定額に満たないと法人化するメリットは薄れます。
事前にシミュレーションすることが重要です。

設立後の軌道修正は大変ですので、会社設立に関する不明点がある場合は専門家へ相談し、納得のいく形で会社を立ち上げてください。

当税理士事務所では、大阪市の会社設立や創業支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。

明田公認会計士事務所
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