複数の子会社とのデータ収集や調整が煩雑で時間がかかる問題にどう向き合うか

監修公認会計士・税理士 明田佳樹

複数の子会社を持つ企業にとって、連結決算に必要なデータ収集と調整は大きな負担となりがちです。
各社で利用している会計システムが異なる、担当者のスキルレベルに差がある、締め作業の時期に業務が集中する――こうした要因が重なることで、単に「集める」だけでも多くの工数が発生します。
さらに、集めたデータがそのまま使えるとは限らず、勘定科目の突き合わせやグループ内取引の相殺など、調整には専門的な知識と丁寧な確認作業が求められます。

特に、データの不備や提出遅延が起こると、スケジュール全体が遅れ、決算の品質や監査対応にも影響を及ぼします。
「まだ揃わない」「修正が何度も発生する」という状況は、経理担当者にとって大きなストレス要因です。
また、子会社側にとっても、本業と並行してデータ提出に対応することは負担となり、双方にとって効率的な状態とは言えません。

では、どのように業務を改善できるのでしょうか。まず重要なのは、「どこで手間が発生しているか」を明確にすることです。提出フォーマットが統一されていないのか、提出ルールが曖昧なのか、チェックプロセスに属人化があるのか。
これらを整理するだけでも、改善すべきポイントが見え始めます。

さらに、連結パッケージやワークフローシステムの導入により、提出・確認のプロセスを標準化することも効果的です。データの入力漏れや形式の不整合をシステム上で防ぐことで、確認に費やす時間を大幅に削減できます。
また、必要に応じて外部の専門家にプロセス設計や実務のサポートを依頼する方法もあります。第三者が入ることで、業務の属人化を解消し、全体フローを整理するきっかけにもなります。

複数の子会社を持つ企業における連結業務は、もはや「担当者の努力と根性」で乗り切れる時代ではありません。仕組みと役割を整えることが、スピードと正確性を両立する鍵となります。負担の大きい現場こそ、一度立ち止まり、業務プロセスを見直す価値があるのです。

明田公認会計士事務所
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