相続税の税務調査対象者と対策について解説
相続税は所得税や法人税と異なり、毎年申告するものではないため、税務調査対策をしている人は少ないです。そのため、相続税の調査対策を行うことで、調査を受ける確率を相対的に下げることができます。本記事では、相続税の調査対象となりやすい人の特徴と対策方法について説明します。
相続税の税務調査とは
相続税の税務調査には、自宅に訪問して行う方法と、申告誤りの部分だけを指摘する方法の2種類があります。
一般に税務調査とされる「実地調査」は、調査担当者が自宅に訪問し、亡くなった方の生前の生活状況や預金通帳などの現物を確認するものです。
調査担当者は、相続人から聴取した内容を基に金融機関の調査を行い、申告漏れとなった銀行口座や、申告から除外された財産がないかを確認します。
申告漏れが見つかれば調査担当者から指摘されるほか、意図的な不正があれば重加算税が課されるため注意が必要です。
一方、申告内容の部分的な誤りを指摘する「実地調査以外の調査」では、相続人が税務署に呼び出され、計算ミスや申告漏れを指摘されます。
実地調査とは異なり通帳などの現物は調べられませんが、申告誤りがあれば実地調査と同様に追徴課税が発生します。
相続税の申告書を提出した約20%が調査対象
毎年10万件から12万件の相続税の申告書が提出され、2万件弱の調査が実施されています。
つまり、申告書を提出した約15%から20%の人が税務調査を受ける計算です。これは、所得税や法人税の調査割合よりも高いです。
実地調査を受けた場合、85%以上の人が非違事項を指摘されていますので、調査対象にならないことが重要です。
相続税の税務調査を受けやすい5つのケース
相続財産が多い
税務署は富裕層を税務調査の重点対象としていますので、相続財産が1億円以上ある方は税務調査を受ける可能性が高くなります。
また、税務調査は各税務署で行われるため、その地域で相対的に相続財産を多く持っている方も調査の対象になりやすいです。
申告書の計算誤りがある
税務調査は、本来支払うべき税金を適切に納めてもらうために行われます。そのため、申告に誤りがある場合には指摘されるので、計算ミスはゼロにする必要があります。
単純な計算ミスだけであれば、実地調査以外の調査でその部分のみを指摘され、調査は終了します。
しかし、税務署は計算ミスを指摘する前に申告書の内容をチェックし、不備や確認が必要な事項が見つかれば、実地調査が行われることもあるため、注意が必要です。
相続財産で預金の割合が多い
相続財産の中で、最も申告書から除外しやすいのは現金です。
不動産は登記されており、上場株式は証券会社に預けられているため、これらが脱税の手口として使われることは少ないです。
一方、現金は預金口座から引き出すだけで
相続財産に見せかけないようにできるため、脱税手段として使われやすいのです。
預金が多い方ほど資金の出し入れがしやすいので、
相続財産において預金の割合が高い人は、税務調査を受けやすい傾向にあります。
海外資産を保有している
富裕層と同様に税務調査の重点項目として注目されているのが、
海外関連の事案です。
相続人が日本に住んでいる場合、被相続人の全世界の財産が相続税の課税対象となります。しかし、海外の財産は日本国内よりも調査が難しいため、資産を海外に移して脱税を図る人もいます。
とはいえ、国は租税条約などを通じて情報交換ネットワークを拡大し、海外資産の情報を収集しています。したがって、海
外に資産を持ち出しても税務署に発見される可能性は高いです。
税理士関与がない申告書
税務署は人手不足のため、すべての申告を調査することができないため、調査対象者に優先順位を設けています。
税理士が申告書を作成している場合、計算ミスなどの可能性が低いため、税理士が関与している申告書は調査対象になりにくいです。
しかし、相続人だけで申告書を作成した場合、相続税評価額の算出ミスや計算誤りが発生する可能性が高く、
税理士が関与しているかどうかで調査を受ける確率に差が生じます。
相続税の税務調査の対策方法
相続税の税務調査を避けるための基本的な対策として、
相続税の申告書を正確に作成し、必要な書類を揃えて提出することが重要です。
調査が行われることはありますが、申告内容に誤りがなければ追加の税金が発生することはなく、追徴課税を支払うことにもなりません。
なお、所得税や法人税は自分の収入に対する申告であるのに対し、相続税は被相続人の財産を相続人が把握し、計算するものです。
相続人だけで正確な申告書を作成するのは難しいため、税務調査を回避するためには、
相続税の申告書の作成を税理士に依頼するのが理想的です。
まとめ
正確な申告書を作成することで、税務調査を受ける確率は低くなります。しかし、相続税の申告書作成経験が少ない相続人が多いため、税理士に依頼することで適切な申告と節税対策を行うことができます。
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