持続化給付金を申請した事業者は税務調査のリスクが高まるのか?
政府は新型コロナウィルス感染症の影響で売上が減少した事業者に対し、持続化給付金を含むさまざまな支援策を実施しています。
要件を満たす事業者は申請することで給付金を受け取ることができますが、近年では不正受給が問題視されており、制度を悪用した者が次々に摘発されているのが現状です。
このような不正受給が蔓延していると、持続化給付金の申請を行った事業者に対して税務調査が行われる可能性が懸念されます。
そこで今回は、持続化給付金と税務調査の関係について詳しく解説します。
持続化給付金の受給対象者
持続化給付金は、前年同月比で売上が50%以上減少している事業者を対象にした制度です。要件を満たす事業者には、中小法人等の法人には最大200万円、個人事業者には最大100万円の給付金が支給されます。この制度自体は経済産業省が運営していますが、売上が減少したことを証明する書類として確定申告書等が必要になるため、税務署も手続きに関与します。
持続化給付金を申請すると税務調査の対象になりやすいか
持続化給付金は経済産業省の管轄であり、その申請が直接税務調査に影響を与えるとは考えにくいです。しかし、申請の状況によっては、給付金を受給した後に税務調査が行われる可能性はあります。
受給しただけでは税務調査の対象にならない
所得税や法人税は利益に対して課税されるため、利益がなければ納税額は発生せず、税務調査の優先度も低くなります。持続化給付金の受給条件を満たす事業者は前年比で50%以上収入が減少しているため、利益が減少または赤字である場合が多いです。そのため、給付金を受給しただけで税務調査の対象になることはありません。
持続化給付金の翌年以降の申告内容がポイント
持続化給付金の要件を満たすために、事業者は確定申告書を提出する必要があります。不正受給が問題になっているため、申告内容の正当性を確認するために税務調査が行われる可能性があります。また、税務調査は複数年分をまとめて調べることが多いため、給付金を受給した年だけでなく、前年や翌年の申告内容も調査対象になることがあります。
持続化給付金の受給が原因で税務調査を受けるケース
持続化給付金を受給すること自体は問題ありませんが、申請を行うことで税務調査の理由が生じる可能性があります。
持続化給付金を収入に含めていなかった場合
持続化給付金は法人の場合は益金、個人事業者の場合は総収入金額に算入しなければなりません。受給したにもかかわらず、確定申告で収入計上していない場合には、税務調査で申告漏れを指摘されます。ただし、法人税や所得税は利益に対して課税されるため、損金や必要経費の方が多ければ課税所得は生じません。また、消費税は持続化給付金が課税対象から除かれます。
持続化給付金を受給するために期限後申告書を提出した場合
持続化給付金は売上が前年同月比で50%以上減少している事業者を対象に支給されるため、売上減少を証明するために法人税や所得税の申告書控えを提出します。毎年申告手続きを行っている方であれば、給付金申請だけで税務調査を受ける可能性は低いです。しかし、給付金を受けるために期限後申告を提出した場合は、申告内容の真偽や過去の申告の有無が調査されることがあります。
受給条件を満たすために申告内容を偽った場合
持続化給付金の受給条件を満たすために申告内容を偽った場合、税務調査で指摘を受ける可能性が高いです。仮装隠ぺい行為により売上を偽った場合は重加算税の対象となり、本税の35%(40%)が賦課されるため、申告内容を偽るリスクは非常に高いです。
まとめ
持続化給付金を受給しても、その年の所得がマイナスの場合、所得税や法人税は発生しません。しかし、給付金を受け取るために申告内容を偽った場合には税務調査で指摘される可能性があります。経済産業省も不正受給について厳しくチェックをしています。税務署に目を付けられると今後税務調査を受ける確率が高くなるため、条件を満たした事業者だけが持続化給付金などの支援策を利用することが重要です。
大阪市での税務調査対応サポートをしていますので、お気軽にご相談ください。