連結決算アウトソーシングの費用対効果を考える

監修公認会計士・税理士 明田佳樹

連結決算は、複数の子会社や関連会社を持つ企業にとって避けられない重要業務です。しかし実務に携わる方ならご存じの通り、単純に決算をまとめるだけではなく、各社の会計基準やシステムの違いを調整し、膨大なデータを集約・検証しなければなりません。経理部門にとっては、時間と労力を大きく奪われる業務のひとつです。そのため、社内リソースだけで完結させるのか、専門家にアウトソーシングするのかという判断が経営の視点から重要になります。

一見すると、外部に依頼することは追加コストを発生させるように見えるかもしれません。しかし実際には、アウトソーシングは「費用対効果」という観点で優れている場合が多いのです。まず第一に、社内で連結決算を処理するためには専門知識を持つ人材の確保と育成が必要です。加えて、基幹システムの整備や各種ツールの導入にも相応の投資が伴います。人件費や教育コスト、システム維持費を合算すると、長期的にはかなりの負担となることは否めません。

これに対して、アウトソーシングでは必要な時期に必要な分だけ専門サービスを利用できます。最新の会計基準や法改正に精通した専門家が対応するため、内部で研究・検証に費やす時間を大幅に削減できる点も魅力です。さらに、外部業者は複数企業の決算を経験しているため、効率的なフローやベストプラクティスを持ち合わせています。その知見を享受できることは、コストを超えた価値といえるでしょう。

加えて、経理部門のリソースをコア業務に集中できる点も見逃せません。例えば、経営企画や予算管理、経営陣へのレポーティングといった戦略的な業務に人材をシフトすることで、会社全体の競争力を高めることにつながります。連結決算に追われて残業を重ねる状況を改善できれば、社員のモチベーションやワークライフバランスの向上にも寄与します。こうした副次的な効果も含めると、アウトソーシングの費用は「投資」としての回収可能性が高いといえるでしょう。

結局のところ、アウトソーシングにかかる費用は単なる支出ではなく、社内リソースの有効活用や業務効率化、品質確保を実現するためのコストです。社内で同等の体制を整えるよりも低コストかつ高品質な成果を得られるため、コストパフォーマンスの面で優れていると結論づけられます。経営資源をどこに配分すべきかという観点で見ても、連結決算のアウトソーシングは十分に合理的な選択肢なのです。

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