外部専門家の力を借りて、連結決算の不安を“見える化”する
連結決算の時期になると、「全体の流れを理解している担当者が少なく、外注先とのやり取りが不安」という声をよく耳にします。
個別決算と比べて、連結決算は子会社のデータ収集、消去仕訳、連結修正、注記作成など、多岐にわたる工程が存在します。ところが、社内でこの一連のプロセスを体系的に理解している人材は限られており、結果として“誰が何をどこまでやるのか”が曖昧になりがちです。
こうした状況で有効なのが、外部の連結決算専門家をパートナーとして活用することです。単なる業務委託ではなく、プロセス全体の整理・改善を含めた「共創」の形で外部リソースを取り入れることで、いくつものメリットが生まれます。
第一のメリットは、属人的な知識からの脱却です。専門家は、複数社の実務を経験しているため、一般的なベストプラクティスを理解しています。その知見をもとに、社内手順やフォーマットを整理することで、誰が担当しても一定水準で対応できる仕組みを構築できます。これは、担当者の異動や退職があっても連結決算を止めない“仕組み化”につながります。
第二に、外注先との連携がスムーズになるという点です。外部専門家は、外注先との間に立って、業務範囲や成果物の明確化、コミュニケーションルールの策定を支援してくれます。結果として、双方の認識ズレや手戻りが減り、納期のリスクも低減します。
さらに、経営層にとっての安心感も大きな価値です。プロセス全体を把握できる専門家が関与することで、決算スケジュールやリスクの見通しが明確になり、突発的なトラブルにも柔軟に対応できる体制が整います。これは単に「作業を任せる」以上に、ガバナンス強化にも直結する効果です。
連結決算の外注には「コストがかかる」という印象もありますが、属人化によるリスクや手戻りの損失を考えれば、むしろ**“投資”としての効果**が期待できます。
社内の限られた担当者に負担を集中させるのではなく、専門家の知見を活用してプロセスを標準化することが、長期的にはもっとも効率的な選択肢となるでしょう。
